大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和35(オ)260 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人尾山尚介の上告理由について。

所論は、被上告人は上告人に対して昭和二八年一月一五日頃現金四五万円を貸し

付けたとの被上告人の主張に対して、原審が被上告人は上告人に対して同年一月頃

から同年二月頃までの間に七回か八回にわたつて布帛加工業の運転資金や工場増築

費として期限の定めなく自己の所持金又はD呉服店から弁済を受けた貸金二八万円

の内一三万円等合計金四五万円を貸し付けたと判示したのは、主張に基づかない事

実を、証拠に基づかないで漫然認定した違法があるというのである。しかし、被上

告人の主張は昭和二八年一月一五日頃現金四五万円を貸し付けたというのであつて、

右主張は、右一月一五日の前後に、現金四五万円を一口の消費貸借として貸し付け

た趣旨の主張と解するのが相当であり、原判示の、被上告人が上告人に対して七回

か八回に合計金四五万円を貸し付けたというのは、現実に金員の授受がなされた回

数としては七、八回にわたるけれども、その授受された金員を一括してその合計金

四五万円について、一口の消費貸借がなされたものである旨を判示した趣旨と解し

得る。それ故、その間所論のように主張に基づかない事実を認定した違法は認めら

れない。また一個の消費貸借の事実を認定するに当つては、その金員が数回にわた

り授受された場合、その授受された一々の日時、場所、金額等具体的内容をそれぞ

れ判示しなければならないものではなく、原判示は、挙示の証拠関係に照らし是認

し得ないわけではない。所論は結局、原判決を正解せず、原判決の違法をいい、ま

たは原審の適法にした証拠の取捨、判断、事実の認定を非難するに帰するものであ

つて、採るを得ない。

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よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 斎 藤 朔 郎

裁判官 長 部 謹 吾

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